Vtuberの著作権譲渡の相場と基礎知識
「Vtuber活動を始めたいけど、キャラクターの著作権ってどうなるの?」
「事務所を脱退して個人勢になりたいけど、権利の買取っていくらかかるんだろう…」
「vtuberの著作権譲渡の相場って、実際どのくらい?」
そんな疑問や不安を抱えているあなたへ。この記事では、Vtuberの著作権譲渡に関する様々な疑問にお答えします。
キャラクターデザインの著作権は誰のものなのか、著作権譲渡と利用許諾との違いといった基本的な知識から、気になる「著作権譲渡の相場は依頼料の何倍?」という疑問、具体的な「著作権譲渡 イラストの金額」や「VTuberの1枚絵の相場はいくらですか?」といった費用感まで詳しく解説します。
さらに、著作権譲渡のメリット・デメリット、商用利用やVtuberの新衣装作成時の著作権の注意点、そして見落としがちな「著作人格権の不行使条項」についても触れていきます。
特に、事務所を脱退して個人活動を目指す方に向けては、「VTuberの権利買取」のリアルな話や交渉方法のポイントも紹介。契約書なしで「後から請求」されるトラブル事例や、「個人勢VTuberの契約トラブル事例にはどんなものがあるか?」を知り、「VTuberの権利関係で注意すべき法的リスクは何か?」を理解することで、安心して活動するための備えができます。
この記事を読めば、Vtuberの著作権に関する疑問が解消され、トラブルを未然に防ぐための知識が身につくはずです。
- Vtuberの著作権譲渡と利用許諾の基本的な違いと内容
- 著作権譲渡の具体的な相場感(依頼料比、イラスト単体など)
- 著作権譲渡におけるメリット・デメリットと注意点
- 事務所脱退時の権利買取や契約トラブル回避のためのポイント
- 著作権譲渡とは?利用許諾との違い
- 著作権譲渡の相場は依頼料の何倍?
- 著作権譲渡 イラストの金額相場
- VTuberの1枚絵の相場はいくらですか?
- 著作権譲渡のメリット・デメリット
著作権譲渡とは?利用許諾との違い
Vtuberのキャラクターを作ってもらうとき、「著作権譲渡(ちょさくけんじょうと)」と「利用許諾(りようきょだく)」という言葉が出てくることがあります。この二つは似ているようで、実は大きな違いがあるのでしっかり理解しておきましょう。
まず「著作権譲渡」とは、キャラクターのイラストやモデルなどを作った人(クリエイターさん)が持っている「著作権」という権利を、まるごとあなた(Vtuberとして活動する人)に譲り渡すことです。著作権が譲渡されると、基本的にはあなたがそのキャラクターの新しい権利者となり、自分の判断で自由に使用できるようになります。例えば、そのキャラクターを使ってグッズを作って販売したり、サムネイルや宣伝に自由に使ったり、二次創作のルールを自分で決めたりすることが可能になります。ただし、後で説明する「著作者人格権」という、作った人の気持ちに関わる権利は譲渡できません。
一方、「利用許諾」とは、著作権はクリエイターさんが持ったままで、「この範囲内であれば、キャラクターを使ってもいいですよ」と許可をもらうことです。この場合、あなたはキャラクターを使う権利を得ますが、本当の持ち主はクリエイターさんのままです。そのため、使用できる範囲には制限があるのが普通です。「配信活動でのみ使用可能」「グッズ制作は禁止」「サムネイルに使う場合はクレジット表記が必要」など、最初に決められたルールを守る必要があります。もしルール外の使い方をしたい場合は、その都度クリエイターさんに相談して許可を得なければなりません。
簡単にまとめると、「著作権譲渡」はキャラクターの権利そのものを買い取るイメージ、「利用許諾」はキャラクターを使う許可をもらう(借りるような)イメージです。どちらが良いかは活動方針や予算によって変わってきますが、権利関係をはっきりさせておくことは、後々のトラブルを防ぐためにとても重要です。

著作権譲渡って、イラスト全部もらえるってこと?

うん、自由に使えるようになるの。でも“利用許諾”は、借りるだけって感じだよ!
著作権譲渡の相場は依頼料の何倍?

Vtuberのキャラクター制作を依頼する際に、「著作権譲渡もお願いします」と言うと、追加で費用がかかるのが一般的です。では、その相場は元の依頼料(イラスト制作費やモデリング費用など)の何倍くらいになるのでしょうか。
これについては、残念ながら「絶対にこう」という決まった相場はありません。クリエイターさんの方針や実績、イラストの内容、そして譲渡する権利の範囲などによって、金額は大きく変動します。
情報サイトなどを見ると、「依頼料の2倍以上」や、場合によっては「数十倍」になることもある、といった記載が見られます。これは、クリエイターさんにとって著作権を譲渡するということは、自分の作品を完全に手放すことになり、将来その作品から得られるはずだったかもしれない利益(例えば、そのキャラクターが有名になって関連グッズが売れた場合のロイヤリティなど)を放棄することになるため、それ相応の対価を求めるケースがあるからです。
しかし一方で、クラウドソーシングサイトのココナラなどを見てみると、「著作権譲渡は無料です」としているクリエイターさんや、「依頼料の数割増し(例えば1.2倍や1.5倍など)」で対応してくれるクリエイターさんも多く見られます。特に個人のクリエイターさんの場合、Vtuber活動を応援したいという気持ちや、実績作りの一環として、比較的安価で著作権譲渡に応じてくれることもあるようです。
このように、相場には非常に大きな幅があるのが実情です。「依頼料の〇倍」と一概に考えるのではなく、依頼したいクリエイターさんに直接、「著作権譲渡をお願いする場合、追加費用はいくらになりますか?」と確認するのが最も確実な方法と言えるでしょう。

譲渡っていくらくらいするの?

ピンキリだけど、制作費の2倍とか数万円〜十万円以上ってこともあるよ!
著作権譲渡 イラストの金額相場

著作権譲渡の費用について、もう少し具体的にイラストのケースで見てみましょう。Vtuberのキャラクターデザインや立ち絵イラストを依頼し、さらにその著作権も譲渡してもらう場合、どれくらいの金額がかかるのでしょうか。
まず、イラスト制作自体の料金がかかります。これは次の見出しでも触れますが、キャラクターデザインや立ち絵の制作には、数万円から、人気イラストレーターさんであれば数十万円かかることもあります。
そして、著作権譲渡をお願いする場合、この制作費に加えて「著作権譲渡料」が上乗せされる形になります。この譲渡料の相場も、やはりクリエイターさんによって様々です。
比較的安価なケースでは、数千円から1万円程度の追加料金で対応してくれる場合があります。平均的には、1万円から3万円、あるいは5万円程度の追加料金を設定しているクリエイターさんが多い印象です。
しかし、クリエイターさんによっては、著作権譲渡に対して非常に高い価値を設定している場合もあります。例えば、譲渡料だけで10万円以上、場合によってはイラスト制作費と同額かそれ以上(つまり合計で2倍以上の金額)を求めるケースも考えられます。これは、著作権を譲渡することのリスク(例えば、譲渡したイラストが意図しない形で使われるリスクや、将来的に他の仕事を受けにくくなるリスクなど)を考慮した結果と言えるでしょう。
このように、イラストの著作権譲渡にかかる金額は、数千円から数十万円までと非常に幅が広いです。依頼するイラストレーターさんの実績や考え方によって大きく異なるため、必ず依頼前に見積もりを取り、譲渡料についてもしっかり確認することが重要です。

安く譲ってもらえる人もいるの?

うん、応援の気持ちで数千円〜対応してくれるクリエイターさんもいるよ!
VTuberの1枚絵の相場はいくらですか?

Vtuber活動で必要になる「1枚絵」には、いくつか種類があります。例えば、キャラクターの全身を描いた「立ち絵」、配信画面やSNSのヘッダーなどに使う「キービジュアル」、動画の表紙になる「サムネイル用イラスト」などが考えられます。ここでは、特にVtuberの基本となる「キャラクターデザイン(立ち絵を含む)」の1枚絵の相場についてお話しします。
キャラクターデザインや立ち絵の制作料金は、誰に依頼するか(個人のクリエイターか、制作会社か)、そしてそのクリエイターさんの実績や知名度、イラストのクオリティや複雑さによって大きく変わってきます。
個人のクリエイターさんに依頼する場合、比較的安価なケースでは数万円程度から依頼できることもあります。クラウドソーシングサイトなどを見ると、5万円から15万円くらいの価格帯で出品されていることが多いようです。ただし、これはあくまで目安であり、もっと安価な場合も、逆にもっと高額になる場合もあります。
一方、有名なイラストレーターさんや、デザイン制作会社に依頼する場合は、費用はさらに高くなる傾向があります。キャラクターデザインだけで10万円以上、場合によっては数十万円、中には100万円を超えるようなケースも存在します。これは、プロとしての高い技術やブランド価値、そして企業としての運営コストなどが価格に含まれるためです。
また、イラストの相場は、描いてもらう範囲(顔だけ、上半身だけ、全身)、ポーズの複雑さ、衣装のデザインの細かさ、修正に対応してもらえる回数などによっても変動します。
重要な点として、これらのイラスト制作費用の相場には、通常「著作権譲渡」の費用は含まれていないことが多いです。もし著作権の譲渡も希望する場合は、前述の通り、別途追加料金が必要になる可能性が高いと考えておきましょう。

立ち絵ってそんな高いの!?

依頼先によっては5万〜15万、人気の人だと数十万超えることもあるんだ。
著作権譲渡のメリット・デメリット

著作権譲渡には、権利を譲り受ける側(Vtuberさん)と、譲り渡す側(クリエイターさん)のそれぞれにとって、メリットとデメリットがあります。
まず、Vtuberさん側から見たメリットです。最大のメリットは、キャラクターに関する権利を自分で管理できるようになるため、活動の自由度が格段に上がることです。グッズ制作や販売、二次利用(例えばLINEスタンプを作るなど)、他のクリエイターへの追加依頼(新衣装など)を、基本的に自分の判断で行えるようになります。また、もし自分のキャラクターが無断で使われるなどの著作権侵害があった場合に、自分で法的な対抗措置(差し止め請求や損害賠償請求など)を取りやすくなるという点もメリットです。
一方で、Vtuberさん側のデメリットとしては、やはり費用が高額になりがちな点が挙げられます。著作権譲渡料は決して安くない場合が多く、初期投資が大きくなってしまいます。
次に、クリエイターさん側から見たメリットです。著作権譲渡の対価として、通常の制作費に加えて高額な報酬を受け取れる可能性があることです。
しかし、クリエイターさん側のデメリットは少なくありません。一度著作権を譲渡してしまうと、基本的にはその作品を自分のものとして自由に使うことができなくなります。例えば、自分のポートフォリオ(作品集)に掲載する際にも、譲渡先の許可が必要になる場合があります。また、もし譲渡したキャラクターが大ヒットした場合、本来であれば得られたかもしれない継続的な利益(ロイヤリティなど)を得る機会を失うことになります。さらに、意図しない形で作品が改変されたり、悪用されたりするリスクもゼロではありません。
このように、著作権譲渡は双方にとってメリット・デメリットが存在します。そのため、契約を結ぶ際には、譲渡する権利の範囲や条件、費用などを明確にし、お互いが納得できる形で合意することが非常に重要です。

自由に使えるのはいいけど…デメリットあるの?

あるよ。費用が高くなったり、相手が作品を使えなくなったりするの。
Vtuberの著作権譲渡の相場と脱退時の注意点
- 事務所脱退時のVTuber権利買取
- デザイン・キャラクター著作権の範囲
- 商用利用やVtuber新衣装の著作権
- 著作人格権の不行使条項とは?
- 契約書なし?後から請求トラブル事例
- 法的リスクと交渉方法のポイント
事務所脱退時のVTuber権利買取

企業や事務所に所属しているVtuberさんが、そこを辞めて個人として活動を続けたい場合、大きな壁となるのが「権利」の問題です。多くの場合、事務所所属のVtuberさんのキャラクターデザインや名前、ロゴなどの権利は、事務所側が持っています。そのため、そのままの姿で活動を続けるためには、事務所から権利を買い取る必要があるケースが多いのです。
事務所がVtuber事業から撤退するなど特殊な事情があれば、権利を無償または安価で譲ってもらえる可能性もありますが、事務所が活動を続けている場合、権利をタダで手放すことは通常考えにくいでしょう。なぜなら、事務所もそのVtuberさんを育てるために、キャラクター制作費、宣伝広告費、マネジメント費用など、多くのコストをかけているからです。
権利の買取価格は、まさにケースバイケースです。決まった相場はなく、事務所側との交渉次第となります。日ノ本マイさんの例では「軽自動車の新車価格くらい」と表現されていましたが、Vtuberさんの知名度や収益力、事務所の方針などによって、数十万円から数百万円、あるいはそれ以上になることも考えられます。人気のあるVtuberさんであれば、権利の価値は非常に高くなり、交渉は難航するかもしれません。場合によっては、事務所側が「いくらお金を積まれても譲渡しない」という判断をすることもあり得ます。
買い取る権利の内容も重要です。キャラクターの2D/3Dモデルだけでなく、名前、ロゴ、配信素材(待機画面、スタンプなど)といった関連するもの全てが含まれるのか、しっかり確認する必要があります。もし買い取れない権利がある場合、個人活動を始める際にそれらを作り直さなければなりません。
事務所を辞めて個人になることを考えている場合は、まず権利関係がどうなっているのかを契約書などで確認し、権利買取が可能か、可能な場合の費用はどれくらいか、事務所と早めに話し合いを始めることが大切です。

事務所やめたらキャラもらえないの?

そのまま使いたいなら、事務所から買い取る必要があることが多いよ。
デザイン・キャラクター著作権の範囲

Vtuberさんの「デザイン」や「キャラクター」と言っても、著作権が関わる範囲は意外と広いです。どこまでが著作権で保護されるのか、基本的な考え方を理解しておきましょう。
まず、キャラクターの見た目、つまり「イラスト」や「3Dモデル」そのものは、著作権法で保護される「著作物」にあたります。これには、正面の立ち絵だけでなく、横向きや後ろ姿を描いた三面図、表情差分のイラストなども含まれます。これらを創作したイラストレーターさんやモデラーさんが、原則として著作権を持つことになります。
重要なのは、著作権は「表現」を保護するものであり、「アイデア」そのものは保護しないという点です。例えば、「ピンク色の髪で猫耳の女の子」というアイデア自体には著作権は発生しません。しかし、そのアイデアに基づいて具体的に描かれたイラストや作られたモデルには、著作権が発生します。ですから、似たような設定のキャラクターがいても、具体的な表現(絵柄やデザインの詳細)が異なれば、著作権侵害にならない場合もあります。
キャラクターの名前や、簡単なロゴデザイン(文字だけを少し装飾したものなど)は、それ自体が創作的な表現とは言えず、著作権で保護されないことが多いです。ただし、非常に独創的なデザインのロゴなどは、著作物として認められる可能性もあります。
また、キャラクターの「設定」(性格、年齢、背景ストーリーなど)も、アイデアの範疇とされることが多く、通常は著作権の保護対象外です。しかし、その設定が非常に詳細で、具体的な物語として表現されているような場合は、その物語部分が「言語の著作物」として保護される可能性はあります。
このように、Vtuberのデザインやキャラクターに関する著作権は、主に具体的な「ビジュアル表現」に対して発生します。権利関係を考える際には、イラストやモデルといった具体的な表現部分が誰によって作られ、その権利が現在誰にあるのかを把握することが重要です。

キャラの設定って著作権あるの?

設定だけじゃ保護されないけど、イラストとか具体的な表現には著作権があるの。
商用利用やVtuber新衣装の著作権

Vtuber活動をしていると、自分のキャラクターを使ってグッズを作ったり(商用利用)、新しい衣装(新衣装)を作ったりしたくなることがあるでしょう。しかし、これらを行う際には著作権に注意が必要です。
まず「商用利用」についてです。自分のキャラクターイラストを使って缶バッジやアクリルスタンドなどのグッズを作り、販売する場合、そのイラストの著作権を持っている人の許可が必要になります。もしあなたがクリエイターさんから著作権譲渡を受けていれば、基本的には自由に商用利用ができます。しかし、著作権がクリエイターさんにあるまま(利用許諾のみを受けている状態)の場合、商用利用が許可されているかどうかを契約で確認する必要があります。「配信での使用は許可するが、グッズ販売は別途許可が必要」といった条件になっていることが多いです。無断で商用利用を行うと、著作権侵害となり、売上の差し止めや損害賠償を求められる可能性があります。
次に「Vtuberの新衣装」についてです。活動を続けていく中で、季節に合わせた衣装や、イメージチェンジのための新しい衣装が欲しくなることもあるでしょう。この新衣装を、元のキャラクターをデザインしたクリエイターさんとは別のクリエイターさんにお願いする場合にも、注意が必要です。新衣装を作ることは、元のキャラクターデザインという著作物を改変(アレンジ)することにあたります。著作権法では、著作物を無断で改変することは原則として認められていません(同一性保持権という権利に関わります)。そのため、元のキャラクターの著作権を持っている人(多くの場合、最初のクリエイターさんか、著作権譲渡を受けたあなた自身、または事務所)の許可を得てから、新しいクリエイターさんに新衣装の制作を依頼する必要があります。無断で新衣装を作成・使用すると、これも著作権侵害となる可能性があります。
商用利用も新衣装制作も、Vtuber活動を豊かにする要素ですが、必ず著作権の所在と利用条件を確認してから行うようにしましょう。

新しい衣装作るのって自由じゃないの?

元のデザインが著作権あるから、勝手に変えるのはダメなんだよ。
著作人格権の不行使条項とは?

著作権の話をするときに、もう一つ知っておきたいのが「著作者人格権(ちょさくしゃじんかくけん)」という権利です。これは、著作権とは別に、作品を作った人(著作者)だけが持つ、作品への想いや名誉を守るための権利です。著作権は譲渡(売り渡し)できますが、この著作者人格権は、作った人固有の権利なので、譲渡することはできません。
著作者人格権には、主に以下の3つの権利が含まれます。
- 公表権:まだ公開されていない自分の作品を、いつ、どのように公開するかを決める権利。
- 氏名表示権:自分の作品に、自分の名前(ペンネームなど)を表示するかどうか、表示する場合はどのように表示するかを決める権利。
- 同一性保持権:自分の作品の内容やタイトルを、自分の意に反して勝手に変えられない権利。
Vtuberのキャラクターに関して言えば、例えばクリエイターさんが「このキャラクターはこういうイメージだから、勝手に変な設定を付け足さないでほしい(同一性保持権)」とか、「私の名前をクレジットとして表示してほしい(氏名表示権)」と主張できる権利です。
著作権を譲渡してもらったとしても、この著作者人格権はクリエイターさんに残ったままです。そうすると、Vtuberとして活動する上で、クリエイターさんの意向を常に確認しなければならず、不便が生じる可能性があります。例えば、少しキャラクターのイメージを変えたいと思っても、同一性保持権を主張されてしまうかもしれません。
そこで、著作権譲渡の契約をする際には、多くの場合、「著作者人格権を行使しない」という約束をクリエイターさんとしてもらう条項、つまり「不行使条項(ふこうしじょうこう)」を入れることが一般的です。これは、「著作者人格権はあなた(クリエイターさん)が持っているけれど、今後はその権利を主張しませんよ」という約束事です。この不行使条項があれば、Vtuberさんは著作権の範囲内で、より自由にキャラクターを活用できるようになります。ただし、だからといってクリエイターさんの名誉を傷つけるような使い方をして良いわけではありません。不行使の合意があったとしても、クリエイターさんへの敬意を払うことが大切です。

譲渡しても文句言われるの!?

著作者人格権は残るからね。“主張しません”って約束もらうのが安心だよ!
契約書なし?後から請求トラブル事例

Vtuberのキャラクター制作を依頼する際、特に個人のクリエイターさんとの間で、しっかりとした契約書を交わさないまま進めてしまうケースがあります。しかし、契約書がない、あるいは契約内容が曖昧だと、後々トラブルに発展する可能性が高まります。よくあるのが「後から請求」に関するトラブルです。
例えば、最初にイラスト制作を依頼し、料金を支払って納品してもらったとします。その時点では、著作権の譲渡や利用範囲について、特に明確な取り決めをしていませんでした。その後、Vtuberとして人気が出て、グッズを作って販売しようと考えたとします。その時になって、クリエイターさんから「グッズ販売は許可していません。もし販売するなら、別途利用料(ロイヤリティ)を支払ってください」あるいは「著作権を譲渡してほしければ、追加で〇〇万円支払ってください」と、後から請求されるケースがあり得ます。
これは、著作権が原則としてクリエイターさんにあるため、利用許諾の範囲が明確でなかった場合に起こりやすいトラブルです。最初に「配信での利用のみ」といった限定的な許可しか得ていなかったのに、Vtuber側が「自由に使っていいと思っていた」と勘違いしていると、このような認識のずれが生じます。
また、最初に口約束だけで「著作権も譲渡しますよ」と言われていたとしても、後になってクリエイターさんが「そんな約束はしていない」と言い出す可能性もゼロではありません。契約書という証拠がないため、「言った」「言わない」の水掛け論になってしまい、解決が難しくなります。
さらに、修正に関するトラブルもあります。「修正は無料で対応します」と口頭で言われていたのに、いざ修正をお願いしたら「ここまでの修正は追加料金が必要です」と後から請求されるケースです。
これらのトラブルを防ぐためには、たとえ簡単なものであっても、契約内容(制作物の内容、料金、納期、著作権の扱い、利用範囲、修正のルールなど)を書面に残しておくことが非常に重要です。メールやメッセージのやり取りでも良いので、合意内容が記録として残るようにしておきましょう。

口約束でも大丈夫だと思ってた…

危ないよ!あとから“グッズ禁止”って言われることもあるから、契約書は大事!
法的リスクと交渉方法のポイント

Vtuberの著作権に関して、特に権利の譲渡や買取を考える際には、いくつかの法的リスクが存在します。これらのリスクを理解し、適切な交渉を行うことが重要です。
まず考えられる法的リスクは、「権利侵害」です。著作権の所在が曖昧なまま活動したり、利用許諾の範囲を超えた使い方(無断での商用利用や改変など)をしてしまうと、著作権者(クリエイターや事務所)から権利侵害として訴えられ、活動の差し止めや損害賠償を請求されるリスクがあります。特に事務所を脱退して個人になる場合、権利関係をクリアにしないまま活動を続けるのは非常に危険です。
次に、「契約不履行」のリスクです。権利の買取や譲渡に関する契約を結んだにも関わらず、約束した代金を支払わなかったり、逆に代金を支払ったのに権利がきちんと譲渡されなかったりする可能性があります。契約内容が不明確だと、どちらが契約に違反しているのか判断が難しくなり、紛争に発展しかねません。
また、「著作者人格権」に関するリスクもあります。不行使条項がないまま著作権だけを譲り受けた場合、後からクリエイターさんに同一性保持権などを主張され、活動に制限がかかる可能性があります。
これらのリスクを踏まえ、権利譲渡や買取の交渉を行う際のポイントは以下の通りです。
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権利の所在と範囲を明確にする:まず、現在誰がどの権利(著作権、商用利用権など)を持っているのか、契約書などで正確に確認します。そして、譲り受けたい権利の範囲(モデル、名前、ロゴなど全てか)を具体的に特定します。
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契約内容を書面で残す:交渉で合意した内容は、必ず契約書などの書面に残します。金額、支払い方法、権利の範囲、著作人格権の不行使などを明記し、双方が署名・捺印(または電子署名)することが理想です。これにより、後のトラブルを防ぎます。
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専門家への相談も検討する:権利関係は複雑な場合が多く、法律の知識がないと不利な契約を結んでしまう可能性もあります。特に高額な取引になる場合や、契約内容に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することも有効な手段です。
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相手への敬意を忘れない:交渉は相手がいることです。特にクリエイターさんに対しては、作品への敬意を払い、一方的な要求ではなく、お互いが納得できる着地点を探る姿勢が大切です。事務所との交渉においても、感情的にならず、冷静に話し合いを進めることが重要となります。
これらのポイントを押さえて慎重に交渉を進めることが、法的リスクを最小限に抑え、円満な権利移行を実現するために不可欠です。

もし勝手に使っちゃったらどうなるの?

最悪、損害賠償を請求されちゃうかも…!だから契約内容をはっきりさせようね。
Vtuber著作権譲渡相場と契約の要点まとめ
- 著作権譲渡は権利自体を移すことであり利用許諾とは異なる
- Vtuber著作権譲渡相場は無料から依頼料の数倍までと幅が広い
- イラスト著作権譲渡の相場も数千円から数十万円と変動が大きい
- Vtuberの1枚絵(立ち絵)の相場は依頼先や内容で大きく変わる
- 著作権譲渡のメリットは活動の自由度向上と権利行使の容易さである
- 著作権譲渡のデメリットは初期費用の高額化が挙げられる
- クリエイター側のデメリットは権利や将来的な利益の喪失リスクだ
- 事務所脱退時にはキャラクター等の権利買取が必要な場合が多い
- 権利買取価格に定まった相場はなく交渉次第である
- 著作権は具体的なイラストやモデルの「表現」に発生する
- アイデアや簡単な名前、設定は基本的に著作権保護の対象外だ
- 商用利用や新衣装制作は著作権者の許可が必要(譲渡がない場合)
- 著作者人格権は譲渡不可であり不行使条項で対応するのが一般的だ
- 契約書がないと後から追加請求される等のトラブルが起こりやすい
- 権利侵害や契約不履行リスクを避け、書面での契約が重要である

